学問をビジネスにインストールする

先週末,私が修了した東京都立大学大学院経営学研究科MBAプログラム(ビジネススクール)主催のオンラインセミナーにパネリストとして登壇させていただきました。

当時は所属していた組織のことや自身の成長と未来についてめちゃくちゃ悩んでいた頃で,ミクロ組織論の講座を受講しては毎夜涙が止まらず,同級生の某出版社のお兄さんと五反田で飲み明かした日々を今でも思い出します(もちろん誇張表現ですが,飲んではその日の講義の内容について語り合ったのは事実です,笑)。そんなミクロ組織論の教授からのお声がけでした。

テーマは「学問をビジネスにインストールする」。大量の情報を容易に入手でき,不確実性が高まる昨今,普遍的な本質を思考する方法を受け継ぎ,今なお紡ぎ続けている知のネットワークである学問の世界。ビジネスの現場に学問をどうインストールするか(なぜインストールすべきか,どうやってインストールすべきか)を議論するという私ごときには高尚すぎるアジェンダでした。

ビジネススクールの紹介があり,M1(修士1年)によるグループ研究の成果発表,昨年度修了生による修士論文発表があった後,WBSの根来先生,都立大BSの竹田先生,在校生1名,私,そしてコーディネーターの先生を加えて5名でのパネルディスカッション。まさか我が人生で根来先生・竹田先生と同じステージに立たせていただける日が来ようとは(オンライン開催だったのが悔やまれます,笑)。

詳細はここでは差し控えさせていただきますが,その中で私は次のようなことを述べました。

  • 通常,我々は目前の「課題」に対して「知識・スキル」を用いて「答え」を出す。しかし,知識もスキルも魔法の杖ではなく,そこで出される答えは一時凌ぎの解になることが多い(環境や状況が変わるとその知識やスキルは通用しなくなってしまう)
  • そういった問題意識に対してビジネススクールの門を叩く人は多いかもしれないが,ビジネススクールに幸せの青い鳥はいない(これはビジネススクール入ってすぐにある教授からはっきり言われました。私の師からも言われた気がする)
  • かわりにビジネススクールで習得したことは「現象/課題」から「問題」を抽出する能力。この問題の抽出の過程において,時にはその問題の持ち方を変えたり,問題の位置をずらしたりことによって,問題を解決することができる。幸せの青い鳥のかわりに,我々は自ら問いを立て,問題を解決する能力を手に入れることができた。

かなり師の影響を受けています。(というか,師の主張そのものと言っても良い)でも,私自身,今,本当にそう思っています。

ビジネススクールで修士論文を書くということ 現場の問題を自分から(少しだけ)切り離せ。
http://mizkos.jp/2017/02/16/bsmt/

そして,師のエッセイにもあるように,私は切り離すこと(と繋げなおしに挑戦すること)が面白くなってしまい,今のような二足のわらじを履くに至ります。

この時,具体的な経験を話してくださいと言われて,はたと困りまして。私にとっての具体的な経験は二足のわらじを履いたことなのですが,そんなこと言われても誰からも共感は得られないよな,と,思いまして,ビジネススクールで習得した能力をどう実務の現場で使おうともがいているかを述べようと思い,私が専門としているソーシャルメディア・マーケティングにおけるエピソードを披露しました。

結果,私のFacebookのフィードを見ていただければわかるのですが,自分的には見事に失敗したなと思いまして,とてもわかりにくい説明になってしまったと大反省した次第。(オーガナイザーの先生や竹田先生,BS同期や後輩の方々からは温かいコメントいただきまして,本当に感謝です)

で,もう少し考えて,こう説明すれば,少しは分かりやすくなるだろうか,というものを考えたので,こちらで晒したいと思います。

「ソーシャルメディアを活用することで売上を上げたい」というマーケティングにおいて昨今よく見られる課題に対する,通常のビジネスプロセス(上)とビジネススクールで得られるスキルを用いたプロセス(下)で整理してみました。

これ,ちゃんと問題を持ち替えられているだろうか,とか,言いたいことと事例が合致しているのかな,とか,いろいろ粗がありそうなので,ご意見いただきたいなと思いました。

まあ,しかし,冒頭にも書いたように,私が敬愛する先生にお誘いいただいたことや,根来先生・竹田先生という経営学の領域で誰もが知っている重鎮の先生方と同じステージに立てたこと,根来先生にいじっていただいたこと(笑),などなど,もう自分的にはそれだけで光栄すぎるし,両先生の論が素晴らしすぎたので,それだけでパネルディスカッションは成功だった,と勝手に思っています,笑。

JAAA 第49回懸賞論文

JAAA 第49回懸賞論文に拙著が入選しました。

麻里久(2020)「広告的、関係性マーケティング再考」『JAAAレポート臨時増刊号 第49回懸賞論文 入賞・入選作品集』、in printing。

JAAA 第49回懸賞論文

マーケティングジャーナル

査読論文がマーケティングジャーナルに掲載されました。

麻里久(2020)「ソーシャルメディアはブランドコミュニティか,ブランドパブリックか? ― 企業公式Facebook ページの分析 ―」『マーケティングジャーナル』、39(3)、pp.104-115。

https://doi.org/10.7222/marketing.2020.002

抄録
ブランドコミュニティ研究にとって,ソーシャルメディアの登場によるコミュニティの変容に対する理解は重要な問題である。ソーシャルメディアをブランドコミュニティとして捉えるべきか,あるいはブランドパブリックとして捉えるべきか,その捉え方はマネジメントの方策に対しても大きな影響を及ぼすものと考えられる。既存研究において,このふたつの概念は特定の状況下で一方のみが形成されるものなのか,あるいは同じ次元で共存可能なものなのか,ふたつの可能性が示唆されてきた。しかし,後者に関する考察はあまり進んでいない。そこで本稿では,既存研究におけるブランドコミュニティとブランドパブリックというふたつの概念をそれぞれ確認しながら,企業が運営するFacebookページにおける消費者行動を観察する。その結果として,企業が運営するFacebookページにおいて,ブランドコミュニティの特性とブランドパブリックの特性がどちらも遍在していることを提示する。

Abstract
In a brand community study, it is important to understand the change of the community caused by the appearance of social media. The marketing strategy depends significantly upon whether we understand social media as a brand community or brand public. The two concepts can be used to understand the dimensions of brand public and can coexist empirically with the dimensions of brand community, and/or one might be more pronounced than the other in particular cases. However, previous studies have not considered coexistence. In addition, brand public is likely to be dependent on platform property. Therefore, in this paper we confirm the previous findings of the two concepts, and we research consumer behavior in Facebook pages managed by the firm. The conclusion suggests that there are properties of both brand community and brand public on Facebook pages managed by the firm.


日本マーケティング学会マーケティングカンファレンス2019

日本マーケティング学会のマーケティングカンファレンス2019でご報告させていただきました。

麻里久「アカウントのアイデンティティとコミュニケーションスタイルがブランドに及ぼす影響についての理論的検討」、マーケティングカンファレンス2019、2019。

http://www.j-mac.or.jp/oral/dtl.php?os_id=175

商品研究

水越先生との共著論文が商品研究に掲載されました。

水越康介・麻里久(2019)「ソーシャルメディアにおける企業アカウント間のインタラクション」『商品研究』、62(1/2)、pp.1-15。